長く具合の悪い義歯を使っていた方、重症歯周病や抜けた歯をそのままにしていた方々は、アゴの位置がズレて、不自然な咬み癖がついてしまっています。また、歯肉・粘膜や咀嚼筋もひ弱になっています。

アゴの位置ずれ1 アゴの位置ずれ2

義歯では一見まっすぐ噛んでいるように見えるが、実際は下顎が左へずれている

このアゴのズレや歯肉、筋肉の機能を正し、正常な咀嚼機能を取り戻す事がポイントです。

このためには「治療用義歯」が必要となります。

治療用義歯を短時間で作り上げ、調整、改造をくり返し、どんどん食事や会話を楽しんでいただきながら、正常なアゴの機能と健全な粘膜を取り戻すことが必要となります。

さらには、昔の自分の歯並び、歯の形や色、顔貌等の記憶も再現させていきます。

上記模型の患者さん

上記模型の患者さん

そして、その治療用義歯の情報を最終義歯に写し取り、完成させるというステップ・バイ・ステップの治療法が理想です。
「使いながら良くしていく義歯作り」です。

歯並びの変更も、顎の位置の修正に伴う人工歯の位置変更も、また筋肉にマッチした形態への改造も自由自在に行うことができます。

ピッタリと密着する義歯をつくるための理論(粘膜面編)

ピッタリと密着する義歯をつくるための理論(粘膜面編)

ピッタリと密着する義歯をつくるための理論

しかし……
患者さんには様々な事情がお有りです。

「毎週1回で何週間も時間を作ることは無理…」、「3日間なら休めるので、集中して義歯を完成したい」

あるいは「他の患者さんと顔を合わせることなく入れ歯を作りたい」等々、多忙な現代人の多様な要求に応えるのも私達の務めの一つです。
遠方から泊まりがけで来院され、一気に完成するケースもあります。

そんな場合には、治療用義歯に限りなく近い結果を1日で再現する必要があります。

そこで、当院では「咀嚼圧印象法」という方法で仕上げを行います。

口腔内を上下一体に3次元的に型採りする(デンチャースペース印象) 口腔内を上下一体に3次元的に型採りする(デンチャースペース印象)

口腔内を上下一体に3次元的に型採りする(デンチャースペース印象)

咀嚼圧印象の術中写真

粘膜面咀嚼印象 ウォッシュ印象 粘膜面の適合性試験

左:粘膜面咀嚼印象 中央:ウォッシュ印象 右:粘膜面の適合性試験

義歯の内面や外側に当院独自の材料を用いて、実際に食事をしたり、話したりしていただきながら、最終印象(型採り)をして、前述のASSOシステム中の技工システムで完成させます。

この方法は、「第8回総義歯ミーティング」(2003年8月)において発表しております。
(臨床術式や技工操作の詳細は後日追加する予定です。)