咀嚼治療・3「噛めないって辛い」3つの原因

3つの原因

「噛めないって辛い」問題の原因を探る旅を続けてきました。

ヒントが、片山先生の入れ歯や、セミナーで見せていただいた症例写真の中に見つかりました。

結論を簡単に言ってしまうと

原因1:顎ズレ

原因2:刃こぼれ

原因3:カン違い

💢コンナ簡単なことで良いんかい💢

と、怒られそうですが、難しい事は省いて、お話ししてみます。

ハサミを例に取ってみます。

ピンキングはさみ

ピンキングはさみ、鋸歯のハサミです。

見たことありますか?

私は、実家が繊維関係の仕事をしていたので、馴染みのあるものです。

コレを例に、顎ズレ・刃こぼれ・カン違いを説明してみますね。

原因1:顎ズレ

読んで字のごとく

顎の位置がずれているケース。

ハサミの2つの刃を止める要ネジ=回転中心がズレているケース。

いくら刃の精度が良くて、切れ味バツグンでも、回転中心が合っていなければ、全く使い物になりません。

上下の顎の位置が合っていない時ですね。

上下の顎の位置が合っていない

この例では、上下の歯が噛み合っている位置と顎の位置が左へ1cm近くズレています。

噛み合わせが高すぎたり、低すぎたり、また、前後左右にズレていたり・・・

これでは、キチンと噛めないことは、誰でも解りますよね。

原因2:刃こぼれ

2つの刃の回転中心がピッタリで、刃の合わさり方も完璧。

でも、刃先がナメていたり、凸凹やキズがあったり、向き合う刃の形が合っていなかったりすると、ガチガチ引っかかってスムースに切れません。

模型で再現してみました。

刃こぼれ咀嚼とスムース咀嚼の違いです。

原因3:カン違い

実はこれが一番厄介。

咀嚼運動というのは、読んで字の如く食べ物を食べる時の顎の動き方の事。

個人個人の固有の咀嚼運動を調べて、ストレスなく美味しく食事ができるように、

歯の形を整えて、仕上げることが大切です。

「そんなこと、当たり前でしょ!」

 

ところが、歯科の世界では、この当たり前の咀嚼運動を診る事は行われていません。

特に、スムースな咀嚼運動が出来るように歯の形を整えるという作業はやりません。

大学でも習いません。

臨床現場でも触れる事がありません。

歯科医師も、歯科技工士もです。

純粋に「知らない」のです。

上下の歯を前後左右に擦り合わせる

「滑走運動」「前方・側方運動」については古くから研究されています。

咀嚼運動と側方運動・滑走運動を混同している様です。

この違いを見てみましょう。

もう一つ、私の例で両者の違いの図を見てみましょう。

ブルーの線が滑走、赤&ライトブルーが咀嚼

ブルーの線が滑走、赤&ライトブルーが咀嚼。

(赤が開口、ライトブルーが閉口)

全くの別物ということが分かります。

どちらも大切なのですが・・・・。

 

最後にもう一つ、

私の右側の咀嚼運動で、歯の形の修正前後の動きを比較してみます。

結構違って来ます。

噛み心地も全然違うんです。

刃こぼれを「目立て」する歯の調整を歯冠形態修正(オドントプラスティー)と言います。

片山恒夫先生の得意技の一つです。

歯周病でも、入れ歯でも大切な事。

チョット長くなりましたが、3つの原因をザッとまとめてみました。

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